ハンドクラッシャー

メンス血だらけおばさんです。割と規則正しい周期で来た。そんな話を経理のおばさんとしてたら「もう使うことあらへんから早よあがってほしいわー」と言っていた。だいたい33年らしい。まだかな。

 

前日19時くらいから寝落ちて何回か起きたような気がする、というか弟が部屋を訪れた記憶が確かにあるので一度意識は取り戻している。動けなかった。朝起きると母から給料日はもう過ぎただろ、という内容のメールが来ていた。取り立てこわい。

 

直属の上司が早く帰るとは聞いていたがその人が担当している売り子が歯の激痛を訴えたため12時半までやってる歯医者に間に合うように帰る、と10時くらいに聞いて我々事務員2人はてんやわんやした。あれこれ同時に進行させていると途中で何やってたか分からなくなり危険。久々にチェック漏れを先日したので気を引き締めて取り組んだ。

 

土ごぼうをもらったが結構汁が出てたので捨てた。

 

帰りに鞄のポケットにあるはずのiPhoneがない。何回見てもない。事務所の電話を借りて掛けてみてもバイブレーションを感じない。社長が市場内の警備本部に連絡してくれたけど届いていない。完全に落とした。目の前が真っ暗になった。

翌日に大喜利ドラゴンを控えてるというのに、とか実家と連絡つかへんがな、とか色々考えた。最寄駅までがガンダーラの様に果てしなかった。

 

とりあえず位置情報を知るために梅田に足を伸ばす(野田のネットカフェはあまりに人が来ないので潰れた)(関係ないが野田のJOY FIT24もきっと長くない)。ロックを掛けなければならないし、もしかしたら市場ではないところで落としているかもという一縷の望みがあった。

でも自暴自棄になって冷麺を食べた。

iCloudを開きiPhoneを探す。場所は野田駅の前。目の前が明るくなったのはネットカフェのクソ明るいスタンドのためではない。でも1時間のプランだったのでちゃんと漫画は読んだ。その間もずっと画面は野田駅を表示していた。

 

野田駅に着くなりダッシュで携帯の落し物が無いか駅員に聞くと

「え?いや届いてませんけど?」と聞きたくなかった言葉が返って来た。持ち直していた心のコマの軸が再びぐらぐらとし始めた。周辺を睨みつけ歩き、そういや野田駅の隣には交番があったと思い出し中に入った。

誰も居ない、恐らく巡回中なのだろう。まあまあこういうときは呼ぶためのボタンや電話やらがあるのは知ってるさとボタンを押すが一向に来ない。なんならボタンが鳴ってるような感じもない。電話はあるにはあったが番号などは特に書かれて居ない。ただの少しだけ冷えた屋内だ。結局15分くらいいたが誰も戻って来なかった。ここで今悪いことをすればお巡りさんは来るのかしらという危険思想の芽は摘んだ。

 

先ほど駅員に渡された、JRの忘れ物とかを管理するセンターの電話番号をもらったので公衆電話を数年ぶりに使った。公衆電話が通うのを無断でやめた整骨院の真隣にあるのでひでえことしやがる、と思った。両方自分で蒔いた種だけども。

コールセンターのお姉さんの名前が得意先の社長の名前と同じだなあと呑気に受け答えしていたら

「間違いありませんね、野田駅にてお預かりしております」

と期待していた言葉をもらった。と同時に先ほどの駅員(余談だが山田ジャックさんに少し似ている)に対する細やかな殺意が芽生えた。早急に回れ右して風のように窓口へ向かった。

 

「いやー、さっきの感じやとついさっき落としたんやと思ってね、ごめんねー」

殺意の火に口調と容貌という油が注がれる。簡単な受け取り手続きを済ませてほぼ強奪くらいの勢いで見慣れたiPhoneを手にした。

 

実家のカレーがいつもより美味しいのでいつもと何か違うのかどうか尋ねたらいつもコーヒーを少し混ぜてるのを今日は入れてないらしい。だいたいこういうときって気のせいとかいうオチが付くはずなのだが。